水槽の「ブクブク」でおなじみのエアーポンプ。実は泡そのものが酸素を溶かす主役ではなく、水面を揺らしてガス交換を促進するのが最大の役割です。
この記事では、エアーポンプの基本、設置手順、酸素不足の見分け方と緊急対処までまとめます。
エアーポンプの役割(何のために付ける?)
- 水面の撹拌とガス交換
水面が揺れる → 二酸化炭素が抜け、酸素が入りやすい状態に。 - 高水温時の酸欠対策
水は温度が高いほど酸素を溶かしにくい。夏場は特に有効。 - スポンジフィルターの動力
エアリフトで水を吸い上げ、ろ材(スポンジ)に水を通す。 - 停電・フィルター停止に備える
外部・上部フィルターが止まった際の命綱に。 - CO₂添加水槽の夜間対策
消灯後は植物も酸素を消費。夜だけエアで安全度UP。
よくある誤解:
「泡が溶けて酸素が入る」は一部正しいが主役ではありません。水面を常に小さく波打たせることがポイント。
いつ必要?いつ不要?
- 必要になりやすいケース
- 夏場(28℃超)/過密飼育/大型魚・金魚/白濁(バクテリア急増)
- CO₂添加の水草水槽の消灯後/薬浴中(酸欠になりやすい)
- 不要になることもあるケース
- 十分な水面撹拌があるフィルター(例:シャワーパイプを水面近くで使用)
- 生体が少なく、水草が多い昼間の時間帯
※ とはいえ夏場・夜間はON推奨です。
酸素不足のサイン(早見表)
- 魚が水面付近で口をパクパクさせて集まる
- エラの動きが速い/落ち着かず泳ぎ回る、逆に底でぐったり
- エビ・貝が高い位置へ移動(水面や流木の上)
- 消灯後〜朝方に悪化しやすい
- 外部フィルターの吐出が弱い/止まっている
緊急対処(優先順)
- エアレーションを強める or 追加する
- 1/3換水(同温度)で一時的にリフレッシュ
- 水温を1〜2℃下げる(ファン・浮かべる保冷剤)
- CO₂添加は一時停止
- フィルター吐出口を水面近くへ
失敗しない機材選び
- 吐出量(L/min, L/h):水面が常に小さく波打つ程度が目安
- 静音性:防振ゴム付き/ダブルチャンバーなど
- 分岐の有無:複数水槽・エアストーンを使うなら2口or分岐コック
- 必要な付属品
- 4/6mmエアチューブ
- 逆流防止弁(必須)
- エアストーン or スポンジフィルター
- 流量調整バルブ(微調整が楽)
電気代の目安:2Wを24時間=約1.44kWh/月 → 電気単価31円/kWhなら月約45円程度。(機種・地域で変動)
設置方法(ステップバイステップ)
- 置き場所を決める
- 可能なら水位より高い位置に置く。難しい場合は逆流防止弁を必ず入れる。
- 振動音対策に、柔らかいマットやスポンジを下に敷く。
- チューブ配管
- ポンプ →(チューブ)→ 逆流防止弁 →(チューブ)→ 流量コック → エアストーン/スポンジフィルター
- 逆流防止弁の向きに注意(矢印が水槽側)。
- たるみ過ぎ・折れ曲がり・潰れに注意。
- エアストーンの位置
- 基本は水槽の後方・目立たない角、底から数cm浮かせて固定。
- スポンジフィルターはガラス面に水平に吸着させる。
- 試運転&調整
- 水面が常に小さく波打つ程度に流量を調整。
- 魚が流される/体を震わせるほど強いのはNG。
- 配線の安全
- 電源コードに**ドリップループ(たるみ)**を作って垂れ防止。
メンテナンス
- エアストーン:目詰まりしたら酢水で浸け置き or 交換(数ヶ月〜半年目安)
- スポンジフィルター:水槽の飼育水でもみ洗い(月1目安)
- チューブ:硬化・白化したら交換
- 逆流防止弁:年1交換推奨(硬化・逆流防止力の劣化防止)
よくあるトラブルと対処
- 音がうるさい
→ 設置面を柔らかく/壁に触れさせない/流量を下げる/分岐して余った空気を逃がす - 泡が出ない
→ 逆流防止弁の向き逆/チューブ折れ/ストーン詰まり/ポンプのダイヤフラム劣化 - 水はね・塩だれ
→ 流量を下げる/ストーンを深く/水面との距離を取る - 水草の気泡が出にくくなった
→ エア強すぎでCO₂が抜け過ぎ。昼は弱め/消灯後に強めへ切替。
水槽サイズ別の使い方イメージ(目安)
水槽サイズ | 生体の例 | 使い方の目安 |
---|---|---|
30cm(12〜20L) | ベタ、エビ | 細かい泡を弱〜中、24時間 or 夜間のみ |
45cm(30L前後) | 小型魚群泳 | ストーン1個を中程度。夏場は強め |
60cm(57L前後) | 小型魚+エビ | ストーン1〜2個 or スポンジF×1。消灯後強め |
金魚・大型魚 | 金魚/シクリッド | 常時中〜強+スポンジF併用推奨 |
※ 室温・水温・生体数で調整してください。「水面が常に揺れている」が合格ライン。
まとめ
- エアーポンプの主目的は水面撹拌=ガス交換。
- 酸素不足サイン(水面パクパク・エラ早い・朝方悪化)を見たら、すぐにエア強化+換水+温度対策。
- 逆流防止弁・静音マット・定期メンテで安全&静音に運用できます。
- CO₂添加水槽は消灯後エアを覚えると失敗が激減します。