「ソイルに栄養があるから、追肥は不要?」——立ち上げ直後はそれでも育ちますが、数か月で栄養は消耗します。葉色が薄い・成長が止まる・葉に穴があく等のサインが出たら、適切な肥料管理が必要です。この記事では、N・P・Kの役割から液体/スティック等の使い分け、実践的な投与ルールまで解説します。
肥料が必要な理由
N・P・K(窒素・リン・カリウム)の役割
成分 | 主な役割 | 不足サインの例 |
---|---|---|
N(窒素) | 葉・茎の成長を促す | 全体が黄緑、成長鈍化 |
P(リン) | 新芽・分岐、根張りを助ける | 新芽が出にくい、成長停滞 |
K(カリウム) | 代謝の安定、細胞の強化 | 古葉の小穴・欠け |
さらに鉄(Fe)や微量元素は、緑の鮮やかさ・赤系水草の発色・新芽の健康に関与。新芽だけが黄化するなら鉄・微量不足を疑います。
肥料のタイプと特徴
液体肥料(リキッド)
- 目的:水中全体へ素早く行き渡らせる。有茎草・浮草に効きやすい。
- メリット:即効性、投与量の微調整が容易、底床を汚しにくい。
- デメリット:入れ過ぎはコケ誘発。根から吸う草には弱い場合あり。
- 使い方の目安:製品の規定量の1/2から開始。
- 向くケース:CO₂添加/有茎主体/レイアウト変更が多い。
スティック・タブレット(底床に差す固形)
- 目的:根からの吸収を重視。クリプト・エキノ等のロゼット型に加え、前景水草(カーペット系)にも効果的。
- 例:ショートヘアーグラス、グロッソスティグマ、キューバパール、エキノドルス・テネルス など
- メリット:持続性(数週間~数か月)、ピンポイント施肥で狙った場所を強化できる。
- デメリット:差し込み時に崩すと栄養が水中に出てコケ要因。場所ムラに注意。
- 使い方の目安:少量を複数箇所、株の外周~マットの外縁に深めに差す。4~8週間で状態を見て更新。
- 向くケース:CO₂なしで育てたい/前景の絨毯化を安定させたい水槽。
栄養系ソイル・底床肥料
- 目的:底床自体に栄養を持たせ、立ち上げを楽にする。
- メリット:初期成長が安定。弱酸性を保ちやすい製品も。
- デメリット:時間とともにやせるため、数か月後は追肥が必要。
投与の基本ルール(失敗しないコア手順)
- 少量から開始(液体は規定量の1/2、固形は小分け)
- 分割投与が安定(液体は日割り/固形は少量を複数点)
- 週1の換水(30~50%)でリセット
- 変更は一つずつ(原因追跡のため)
- 2週間単位で±20%調整(葉色・伸び・コケの変化で判断)
エビ・小型魚がいる水槽での注意
- シュリンプ対応の表示がある製品を選択。
- 銅(Cu)含有は半量スタート、様子を見て微調整。
- コケ取り生体がいても、過剰栄養には勝てない。投与量と照明時間の管理が優先。
タイプ別の比較(前景水草を反映)
タイプ | 効き方 | 主な対象 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
液体肥料 | 水中に速く回る | 有茎草・浮草 | 即効性、量の調整が容易、底床を汚しにくい | 入れ過ぎでコケ |
スティック/タブ | 根から持続吸収 | ロゼット型・前景水草(カーペット系) | 長持ち、前景の“面”を狙って強化できる | 施工時に崩すとコケ、施肥ムラ |
栄養系ソイル | 底床全体で供給 | 幅広く | 立ち上げ安定、管理が楽 | 数か月後に追肥が必要 |
まとめ
- 肥料は水草の成長資源。N(窒素)/P(リン)/K(カリウム)+鉄・微量を適量管理。
- 液体=速効・調整しやすい、スティック=根から持続・前景の面づくりにも効果的、ソイル=初期安定。
- 少量スタート→2週間ごとに微調整、週1の換水で大きな失敗を避けられます。