ミナミヌマエビは、淡水アクアリウムで大人気の“コケ取り名人”。透き通った小さな体で水槽内を動き回り、コケや食べ残しを掃除してくれる便利な生体です。さらに繁殖も容易で、群れで飼うとにぎやかな雰囲気に。しかし「簡単に飼える」とはいえ、いくつか押さえておきたい注意点もあります。
この記事では、ミナミヌマエビの飼育と繁殖における5つの基本ポイントを初心者向けにわかりやすく解説します。
① 飼育の基本環境|水質・水温・水草
水質
ミナミヌマエビは弱酸性~中性(pH 6.5~7.0)を好みます。水質の急激な変化に弱いため、換水は少しずつ行うのがポイントです。これを怠るとポツポツ死んでいきます
水温
飼育に適した水温は 20~28℃。5℃程度の低温にも耐えますが、30℃以上は危険ゾーン。夏場に部屋が暑くなる場所なら水槽用ファンやクーラーでの対策が必要です。
水草・レイアウト
ウィローモス、アナカリス、マツモなどの水草を入れると、
- 隠れ家になる
- 稚エビのシェルター・エサになる
- 水質安定に役立つ
といったメリットがあります。
② 餌とフィルター|自然食+少量の人工飼料でOK
餌
基本的には水槽内のコケや微生物を食べて暮らします。人工飼料を与える場合は、沈下性のシュリンプフードやプランクトンタブレットを週1〜2回、少量にとどめましょう。
フィルター
外部フィルターや上部フィルターが適しています。ただし稚エビが吸い込まれやすいので、吸水口にスポンジを取り付けるのが必須です。底面フィルターもコスパがよく便利です。
③ 導入数と繁殖|10匹以上がおすすめ
繁殖力はとても高い
ミナミヌマエビは繁殖力が強く、気づかないうちに水槽の隅で稚エビが育っていることもあります。なんと一度に20~40抱卵します。
導入数
オスとメスの性別判別は難しいため、最初に10匹以上導入するのがおすすめです。これで繁殖の成功率がぐんと上がります。
単独飼育がベスト
繁殖を狙うなら、魚との混泳は避けた方が安心です。小型魚でも稚エビを捕食することが多いため、単独飼育水槽を用意すると成功しやすくなります。水草をたくさん植えれば、捕食されながらも生き残る個体はみられますが…!
④ 繁殖のコツ|自然に任せるのが一番
ミナミヌマエビの繁殖はとても容易です。環境が整えば自然と交尾・抱卵が始まります。
- 水温変化(春の気温上昇など)がトリガーになりやすい
- 成熟したメスは抱卵し、約2〜3週間で稚エビを放出
- 稚エビは最初から淡水で育つため、特別な隔離水槽は不要
自然に近い環境を用意してあげるのが最大のコツです。
⑤ 注意点|水槽立ち上げから混泳まで
水槽の立ち上げ
立ち上げ直後は水質が安定せず、アンモニアや亜硝酸で全滅の危険があります。必ず1〜2週間以上の立ち上げ期間を取りましょう。
水合わせ
導入時は慎重に。この作業を怠ると、全滅があり得ます(過去に苦い経験が…)。袋ごと水槽に浮かべて温度を合わせた後、少しずつ飼育水を混ぜて1時間以上かけるのが安心です。
水換え
急激な水質変化を避けるため、少量ずつの換水を心がけてください。
薬品に注意
農薬・殺虫剤・水草トリートメント薬はエビに致命的。使用は避けましょう。水槽の周りで殺虫剤をまいた翌日にエビが死んでいる、というのは有名な事故です。。
混泳
稚エビを守りたいなら単独飼育がおすすめ。どうしても混泳したい場合は、隠れ家となる水草や流木を多めに配置してください。
まとめ|ミナミヌマエビは飼いやすく繁殖も楽しめる
ミナミヌマエビは、
- 幅広い水質・水温に適応
- 餌はコケ中心でOK
- 繁殖力が強く、自然繁殖が可能
- ただし水質変化や高温には注意
といった特徴を持つ、とても飼いやすいエビです。
水槽の掃除役としてだけでなく、繁殖の様子や群れで動く姿も魅力のひとつ。初心者でも安心してチャレンジできる生体ですので、ぜひあなたのアクアリウムに迎えてみてください。